No.0031

iPS創薬と微小環境とアートの関係性について

text : mama(美学者母)
2014年9月28日(
日曜日)執筆

 

皆さんはどうでしょうかこの三つの要素について、
何かの共通性を見出す事は可能でしょうか。
この三つの要素には、
僕のアートに対する考え方の基本的、 根本的、原理的なものがあります。
それは「アーキテクチャ」です。
アートの世界でも、マルセル・デュシャンがレディメイドを発明し、
その流れから「インスタレーション」という概念も生まれました。
私も「インスタレーション」「ウェブインスタレーション」
直近においては「スマートアート」などを表現形態にしているのは、
「アーキテクチャ」というものの重要性を、
「個」の存在の重要性よりも強く感じたからです。
つまりiPS創薬、微小環境、アートの三つの要素の共通性は、
「アーキテクチャ」なのです。
まず「創薬」関係の話を致しますと、
今までの「創薬」の常識は、原因因子すなわち「分子」に対して、
いかに有効かという事を基本として薬は開発されてきました。
しかし「iPS創薬」は「分子」を問題にはしません。
その「アーキテクチャ」に対して、すなわち「症状」に対して、
有効かという事を「基本」とします。
それは「症状」を外部で再現できるという事が可能にしてくれました。
この考え方は次に紹介する「微小環境」との繋がりがあります。
次に「癌」関係の話を致します。
こちらに関しても以前までは「癌細胞」を問題にしていました。
しかし最近の研究では「癌細胞」はその周りの「微小環境」に影響される。
その様な事が解明されてきています。
すなわち「アーキテクチャ」が「癌細胞」を作り出すわけです。
さらにこの研究では、「癌細胞」の環境を変えれば「癌細胞」が無くなる。
そのような事まで分かってきています。
では「アート」はどうでしょうか。
「アート」でも「個」の造形や形を問題にしてきました。
しかし昨今ではその他の分野と同じ様に「アーキテクチャ」の重要性、
それがだんだんと理解される様になってきました。
しかしそれもごく一部の人々に限られています。
もちろんあらゆる分野で物事の重要性が、
「個」から「アーキテクチャ」に移行する「過渡期」である事は間違いない。
私がアート活動として「ウェブインスタレーション」や「スマートアート」を、 打ち出しているのもこの構造を理解しているからであり。
また先発優位性を求めているのも確かです。
それは一人のアーティストとしては当然の事であると考えます。
それと同時に「アート」における「アーキテクチャ」の普及というのも、
私が行っていくべき事であると考えています。
確実に「アート」だけに限らず様々な分野はそちらへ向かっていきます。
最近の面白い実例を「経済」から紹介したいと思います。
皆さんは「ハラル」というのをご存知でしょうか。
「ハラル」とはイスラム教の戒律の様なものですが、
今「イスラム教」国家では「ハラル認証」というものが流行しています。
様々な製品や商品が「イスラム教の戒律」を守っているかというもので、
それを審査する機関が各国にあり合格すれば認証が貰えます。
この「ハラル認証」は実はなんの「定量的」な基準がないのがミソです。
宗教指導者が良いと言えば良くて、ダメだと言えばダメだという。
なんとも歪な認証制度となっています。
これは「宗教的概念」が物事の価値を決めてしまうという、
「イスラムスタンダード」な考え方なのです。
しかし、世界人口のかなりの割合がイスラム教を信仰する世界では。
まさに、私たちに日本人の「グロバルスタンダード」と同じものになり得ます。 そしてその「グローバルスタンダード」は「ISO」という国際基準があります。 これは近い将来「ダブルスタンダード」の時代になる恐れがあります。
欧米が押し進める「グローバルスタンダード」と、
イスラム国家が進める「イスラムスタンダード」。
これから他にも新しいものが出てくるかもしれませんが。
まさにこれらの例は「アーキテクチャの時代」を象徴する事例です。
その「アーキテクチャ」の違いでものの価値や意味が全く変わるのです。
「グローバルスタンダード」で価値がある「もの」でも、
「イスラムスタンダード」ではゴミ以下の「もの」になるのです。
様々な分野でこの「現象」が始まっています。
皆様もこのような物事の見方の変化に、
少しは興味を持ってみてはいかがでしょう。