現代アートって解らない
そもそも現代アートって何なのか全然解らないという人たちは大変多いのが現代アートです、日本で言われる一般的なアートというものには、例えばゴッホだったりセザンヌという印象派の作家が真っ先に思い起こす人たちが多いのではないでしょうか。現代アートは理解できないがゴッホやセザンヌは理解できるというのが日本の一般的なアートの認識のようにも思います。では現代アートは本当に印象派のゴッホやセザンヌと全く違うもので現代アートとアートというものが全く相容れないものなのでしょうか？そんな現代アートの本質に迫っていきます。
そもそも現代アートの定義ってあるの？
まず最初にはっきりと言ってしまうと現代アートの明確な定義はありません、また現代アートの定義があるとしてもそれは個々による認識や捉え方でかなり変わってきてしまします。例えば簡単に現代アートの定義をずらっと並べてみるとこういう認識が現代アートという捉え方にあるようです。
・20世紀初頭のフォーヴィスム・ドイツ表現主義以降を現代アートとする考え方
・20世紀初頭のキュビスム 以降を現代アートとする考え方
・20世紀前半のシュルレアリスム・抽象絵画（抽象美術）以降を現代アートとする考え方
・第二次世界大戦後（1945年以後）の美術を現代アートとする考え方
・これらとは別に、20世紀以降の美術全体を現代アートとする考え方
ざっと簡単に並べただけで現代アートの定義が沢山存在していることが解ります。なぜ現代アートの定義がこれだけバラつくのかというのは、現代アートをそれぞれ定義付けする人の立場の違いと言ってしまうのが簡単です。例えば美術史から現代アートを捉える、思想史から現代アートを捉える、マーケットから現代アートを捉える、作品そのものから現代アートを捉えるなど現代アートを定義するにも様々な立場があり、その立場で現代アートの定義が変わってしまうのです。
グローバルスタンダードの現代アートとは？
ではそんな数ある中の現代アートのどれを現代アートと考えたらいいの？という答えに答えていこうと思うわけですが、まずグローバルスタンダードとしての現代アートを考えるときに一番簡単なのがマーケット中心の現代アートです。基本的にこの現代アートマーケットは市場原理で動いていますので一番簡単で解りやすい、すなわち現代アートマーケットで取引されている作品を現代アートとする考え方です。ではそのマーケットはどこかというと世界的に有名なアートオークションのクリスティーズやサザビーズです、ここをグローバルスタンダードな現代アートのシーンと位置付けることができるし現代アートを理解する上でも簡単かつ重要な事です。
現代アートはマルセル・デュシャン以降だ！！！
グローバルスタンダードな現代アートはマーケット中心であると先に述べましたが、個人的な意見として簡単明瞭に現代アートとは何だ？と聞かれればマルセル・デュシャン以降と単純に言えます。ただこれは美術史的な意味ではなく作品傾向と言った方がいいかもしれません、この現代アートの定義に同意する人は作家よりの方々が多いと考えられます。一番先に列挙した定義はどちらかというと美術史よりの現代アートの定義です、それよりも作品がマルセル・デュシャン的な方法論を継承しているという所にここで言う現代アートはマルセル・デュシャン以降という定義になってきます。
現代アートの楽しみ方
基本的に現代アートの楽しみ方は無限大ですが積極的に関わっていこうという姿勢が求められます、いわゆる日本的感傷的なアートとのコミュニケーションというものではなくもっと理性的で知的なスタンスが必要になってきます。ただ漠然と鑑賞するという姿勢ではなかなか理解できないのです、この辺が一番現代アートが解らないという事の根本的原因となっています。現代アートを楽しむには幅広い知識が有用であり、知識が多く深いほど楽しめるというものが現代アートなのです。日本人がアートと考えているゴッホやセザンヌは印象派でそれはある種感傷的な姿勢自体をコンセプトにしているので、日本人のもともとのアートへの関わり方と親和性が強かったわけです。しかし現代アートには作品に一歩踏み込んで現代アートへ関わっていくという姿勢が求められます、その辺が少し現代アートに対する障壁となっているのです。しかし一歩現代アートを理解してくると現代アートの楽しさが倍増していくでしょう。
現代アートが解らないから解りたいに
先にも書きましたが現代アートには作品に関わろうという姿勢が特に求められます、「何で？」「どうして？」「解りたい」という積極的に現代アートに関わっていこうという姿勢が現代アートが解るようになる第一歩です。現代アートの世界は素晴らしい世界です一人でも多くの人々に興味を持ってもらい現代アートを愛する人が一人でも増えてくれれば光栄です。
