No.0134

現代美術とは?
現代美術の謎と現代美術の解りにくさ

text : mama(美学者母)
2016年4月17日(日曜日
)執筆

現代アート・現代美術

 

現代美術って解らない

そもそも現代美術って何なのか全然解らないという人たちは大変多いのが現代美術です、日本で言われる一般的な美術というものには、例えばゴッホだったりセザンヌという印象派の作家が真っ先に思い起こす人たちが多いのではないでしょうか。現代美術は理解できないがゴッホやセザンヌは理解できるというのが日本の一般的な美術の認識のようにも思います。では現代美術は本当に印象派のゴッホやセザンヌと全く違うもので現代美術と美術というものが全く相容れないものなのでしょうか?そんな現代美術の本質に迫っていきます。

 

そもそも現代美術の定義ってあるの?

 

まず最初にはっきりと言ってしまうと現代美術の明確な定義はありません、また現代美術の定義があるとしてもそれは個々による認識や捉え方でかなり変わってきてしまします。例えば簡単に現代美術の定義をずらっと並べてみるとこういう認識が現代美術という捉え方にあるようです。

・20世紀初頭のフォーヴィスム・ドイツ表現主義以降を現代美術とする考え方
・20世紀初頭のキュビスム 以降を現代美術とする考え方
・20世紀前半のシュルレアリスム・抽象絵画(抽象美術)以降を現代美術とする考え方
・第二次世界大戦後(1945年以後)の美術を現代美術とする考え方
・これらとは別に、20世紀以降の美術全体を現代美術とする考え方

ざっと簡単に並べただけで現代美術の定義が沢山存在していることが解ります。なぜ現代美術の定義がこれだけバラつくのかというのは、現代美術をそれぞれ定義付けする人の立場の違いと言ってしまうのが簡単です。例えば美術史から現代美術を捉える、思想史から現代美術を捉える、マーケットから現代美術を捉える、作品そのものから現代美術を捉えるなど現代美術を定義するにも様々な立場があり、その立場で現代美術の定義が変わってしまうのです。

 

グローバルスタンダードの現代美術とは?

ではそんな数ある中の現代美術のどれを現代美術と考えたらいいの?という答えに答えていこうと思うわけですが、まずグローバルスタンダードとしての現代美術を考えるときに一番簡単なのがマーケット中心の現代美術です。基本的にこの現代美術マーケットは市場原理で動いていますので一番簡単で解りやすい、すなわち現代美術マーケットで取引されている作品を現代美術とする考え方です。ではそのマーケットはどこかというと世界的に有名なアートオークションのクリスティーズやサザビーズです、ここをグローバルスタンダードな現代美術のシーンと位置付けることができるし現代美術を理解する上でも簡単かつ重要な事です。

 

現代美術はマルセル・デュシャン以降だ!!!

グローバルスタンダードな現代美術はマーケット中心であると先に述べましたが、個人的な意見として簡単明瞭に現代美術とは何だ?と聞かれればマルセル・デュシャン以降と単純に言えます。ただこれは美術史的な意味ではなく作品傾向と言った方がいいかもしれません、この現代美術の定義に同意する人は作家よりの方々が多いと考えられます。一番先に列挙した定義はどちらかというと美術史よりの現代美術の定義です、それよりも作品がマルセル・デュシャン的な方法論を継承しているという所にここで言う現代美術はマルセル・デュシャン以降という定義になってきます。

 

現代美術の楽しみ方

基本的に現代美術の楽しみ方は無限大ですが積極的に関わっていこうという姿勢が求められます、いわゆる日本的感傷的な美術とのコミュニケーションというものではなくもっと理性的で知的なスタンスが必要になってきます。ただ漠然と鑑賞するという姿勢ではなかなか理解できないのです、この辺が一番現代美術が解らないという事の根本的原因となっています。現代美術を楽しむには幅広い知識が有用であり、知識が多く深いほど楽しめるというものが現代美術なのです。日本人が美術と考えているゴッホやセザンヌは印象派でそれはある種感傷的な姿勢自体をコンセプトにしているので、日本人のもともとの美術への関わり方と親和性が強かったわけです。しかし現代美術には作品に一歩踏み込んで現代美術へ関わっていくという姿勢が求められます、その辺が少し現代美術に対する障壁となっているのです。しかし一歩現代美術を理解してくると現代美術の楽しさが倍増していくでしょう。

 

現代美術・現代アート

 

現代美術が解らないから解りたいに

先にも書きましたが現代美術には作品に関わろうという姿勢が特に求められます、「何で?」「どうして?」「解りたい」という積極的に現代美術に関わっていこうという姿勢が現代美術が解るようになる第一歩です。現代美術の世界は素晴らしい世界です一人でも多くの人々に興味を持ってもらい現代美術を愛する人が一人でも増えてくれれば光栄です。